膵癌|【豊中市の胃カメラ・大腸内視鏡検査】みやの消化器内科クリニック|内科・消化器内科

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膵癌

こんにちは。

今回は膵癌についてです。日常診療で膵癌を気になさっている方が結構いらっしゃいます。背中が痛いのは膵癌ではないか、体重減少しているのは膵癌があるのでは、特に症状はないけど膵臓をみてほしい、、、などです。膵癌は予後が悪いことで有名ですので、みなさんが気になる気持ちはわかります。

膵癌は膵管という膵液が通過する管の上皮から発生し、膵臓にできる腫瘍の80~90%を占めます。ただ罹患率は胃癌や大腸癌などに比べて低いために、癌での死因では第5位となっております。しかし近年増加傾向にあり、毎年3万人以上の方が膵癌で亡くなっています。この死亡数はこの30年で8倍以上に増加しました。60歳以上の方に多く、やや男性に多く発症します。その他、慢性膵炎、IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)といった病気のある方、生活習慣病でいうと糖尿病、肥満、喫煙、大酒家などの方はリスクが高くなります。

膵癌は早期ではほとんど自覚症状を認めません。病気が進行してからお腹や背部の痛みであったり、体重減少、黄疸の症状が出現してきて発覚することが多いので、膵癌と診断されたときには進行癌でみつかることになります。背中が痛くなると膵癌を心配するか方がいらっしゃいますが、必ずしも膵癌の特徴的な症状ではありません。症状以外では糖尿病の経過中に急に血糖コントロールが悪くなった時は膵癌が発症している場合もありますので要注意です。

腹痛: 膵管の上皮から出現した癌により管が詰まってしまい、膵臓でつくられる膵液の逃げ場がなくなり、貯留していくことで膵管内部の圧力が上昇し、膵管が拡張してきます。それにより炎症が起こり(膵炎)腹痛の原因となります。

黄疸: 肝臓で作られた胆汁という消化液は総胆管という管を通過して十二指腸に流れ出ます。総胆管は肝臓から膵臓の頭部を貫ぬいて十二指腸の乳頭というところに開口しています。膵癌が膵臓の頭部にできることで、胆管が圧迫されることで胆汁の流出が妨げられ、胆汁の逃げ場がなくなり、胆管が拡張します。胆管の内圧が上昇して逃げ場のない胆汁が血中に逃げることで、全身が胆汁の成分により黄色くなるという黄疸が発症します。黄疸の初期では目の白目の部分(眼球結膜)が黄色くなったり、尿が濃くなり褐色になったりします。

体重減少: 膵臓は胃や十二指腸、大腸に接しているため、膵臓に大きな腫瘍ができると、接している臓器を圧迫することで食事がとれなくなる場合があります。また膵液という消化液の流れが滞ることにより、消化不良となり吸収されにくくなって栄養障害がおこり体重減少することもあります。

 

膵癌を早期でみつけるのは困難で、簡単にわかるような検査はありません。そもそも膵癌を診断するには画像検査が必須であり、CTやMRIで診断をつけます。超音波内視鏡といった特殊な内視鏡検査も使用されます。また確定診断をつけるためには内視鏡的逆行性胆管膵造影検査(ERCP)を実施することがあります。ERCPとは内視鏡を十二指腸まで挿入し、カテーテルを内視鏡の先から出して十二指腸の乳頭から胆管や膵管へ挿入し、造影剤を流し込み、胆管や膵管を直接造影する検査です。この検査では腫瘍から直接細胞を採取したり、膵液細胞診などで癌細胞がいるかどうかを調べることが可能であり、重要な検査のひとつです。血液中の腫瘍マーカー(CEA,CA19-9,DUPAN-2,エラスターゼⅠ)などもありますが、こちらは癌がある程度進行してからでないと上昇してきません。また癌があったとしても必ずしも陽性になるわけではないので、これだけでは膵癌の診断はできません。

 

治療は膵癌の進行度や患者様の体力や健康状態によって異なります。手術は最も効果的な方法ではありますが、手術で取り切れる範囲を超えるように進行している場合は手術より抗癌剤や放射線治療が選択されます。膵癌の場合は治療方針が多岐にわたりますが、いずれも手術、抗癌剤、放射線治療を組み合わせて行うのが一般的です。

膵癌は悪性度が高く、進行の早い癌として知られております。見つかった時は進行癌が多く、手術が選択されないケースは7~8割までともいわれております。現在は微小な早期膵癌をみつける方法を、色々と臨床研究されておりますので、結果が待たれます。

 

 

豊中市西緑丘3丁目14ー8

みやの消化器内科クリニック

院長 宮野 正人