大腸ポリープとは
大腸ポリープとは大腸の粘膜の一部が盛り上がり、内腔に突出した“でっぱり”の総称です。
ポリープの大きさや形は様々あります。一般的には良性の病変のことを「ポリープ」と呼称しますが、大きく括ると大腸がんも含まれます。
大腸ポリープ
Disease
大腸ポリープとは大腸の粘膜の一部が盛り上がり、内腔に突出した“でっぱり”の総称です。
ポリープの大きさや形は様々あります。一般的には良性の病変のことを「ポリープ」と呼称しますが、大きく括ると大腸がんも含まれます。
ポリープができる原因としては加齢や食生活の生活習慣が関わっていると考えられております。
・40歳くらいから加齢性変化によりポリープが増加するといわれております。
・生活習慣が関与しているとおわれております。肥満傾向の方や、高カロリー食、肉など動物性脂肪を多くとられる方、食物繊維をあまりとならい方、過度な飲酒・喫煙などが原因として挙げられます。
遺伝的要因として挙げられるのが、家族内で発症する疾患、「家族性腺腫性ポリポーシス」という数百から無数のポリープが大腸にできる病気があります。治療せずに放置すると、年齢が上がるにつれてがん化する確率が高くなり、最終的には100%大腸がんになるといわれています。
大きく分けて「腫瘍性ポリープ」と「非腫瘍性ポリープ」に分かれます。
・ 腫瘍性ポリープ
大腸がん、腺腫があります。腺腫は大きくなるとがん化する可能性があるポリープです。特に10㎜以上になるとがんが発生するリスクが高くなります。大腸がんは腺腫から発生することが多いため、基本的に治療の対象になります。隆起しているもの、平坦なもの、陥凹しているものなど様々な形態があり、その形状や大きさによって治療法を使い分ける必要があります。
・非腫瘍性ポリープ
過形成ポリープ、炎症性ポリープ、過誤腫性ポリープなどがあります。基本的にがん化することはなく、必ずしも治療の必要はありませんが、出血の原因になったり、腫瘍性のポリープとの区別がつきにくい時など治療の適応になることがあります。
* 鋸歯状病変 SSL、TSA
非腫瘍性ポリープに含まれます。顕微鏡で観察した際に、腺管がノコギリの歯の様な構造を呈する病変です。以前はがん化することはないとされていましたが、現在ではがん化することもあり得る病変とされています。基本的に治療の対象になります。
基本的に自覚症状はありません。大きなポリープの場合、出血や腹痛、腸閉塞(腸重積)を起こすことがありますが、めったにありません。大腸内視鏡検査をしないかぎり、まず見つかることはありません。
大腸ポリープを発見するには大腸内視鏡検査となります。ポリープがどういった種類のものかを診断するには、ポリープを切除して回収し、病理検査を実施することで最終的に診断します。
大腸ポリープに対しての治療は主に内視鏡治療と手術があります。
腫瘍性ポリープつまりがんが疑われる病変や腺腫は内視鏡治療もしくは、内視鏡では切除できない場合には手術によって切除します。
一方で非腫瘍性ポリープはがん化する恐れがないので、出血などがない場合には積極的な治療はせず経過観察となることが一般的です。
内視鏡治療
内視鏡治療で代表的な切除方法は以下になります。ポリープの大きさや形状、がんの可能性があるかなどが考慮され選択されます。
・内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)
ポリープの根本にスネアと呼ばれる輪状のワイヤーをひっかけて、通電することでポリープを切除します。
近年では電流を流さずに切除する(コールドポリペクトミー)が主流となっており、出血のリスクが少ないために外来で実施可能な処置となります。
・内視鏡的粘膜切除術(EMR)
特に平坦なポリープなどの場合において、ポリープが存在する粘膜の下に薬液を注入することで、ポリープごと粘膜を持ち上げ、挙上した粘膜の部分にスネアをひっかけて通電して切除します。
・内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
スネアがかからないような大きな病変やがんが疑われる場合に選択されます。ポリープの下に薬液を注入し、ポリープごと粘膜を持ち上げます。その上で病変の周りの粘膜に切開を入れ、そこから少しずつ剥離して切除する方法です。
・手術
手術は基本的に進行がんや早期と思われるがんの中でもより深く浸潤しており、内視鏡では完全切除ができないような病変が対象となります。また腺腫の中でも内視鏡治療が難しい場合は手術が検討されます。
大腸ポリープを完全に予防することは難しいですが、生活習慣の改善(過食や高カロリー食、肉などの動物性の高脂肪職、高蛋白質を取りすぎないようにし、食物繊維を積極的に摂取したり、過度の飲酒や喫煙を控えるなど)でポリープ発生の低減が期待されます。
大腸ポリープはがん発生の大きなリスクです。大腸ポリープを全て切除することをクリーンコロンといいます。クリーンコロンにすることで大腸がんの罹患率、死亡率を大幅に低下させることができるといわれています。将来の大腸がんのリスクを下げるためにも大腸内視鏡を定期的にうけることが推奨されます。