|【豊中市の胃カメラ・大腸内視鏡検査】みやの消化器内科クリニック|内科・消化器内科

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胃粘膜下腫瘍

こんにちは。今回は胃粘膜下腫瘍についてです。

あまり聞きなれないとは思いますが、正確には病名ではなく胃の腫瘍の状態を表しています。

粘膜下腫瘍(submucosal tumor : SMT)というのは文字通り粘膜の下にある腫瘍の総称であり、腫瘍が正常な粘膜に覆われているので、内視鏡で胃の中から見ると腫瘍部分はこぶのように盛り上がっているようにみえます。一般的に通常のポリープやがんなどは、上皮性腫瘍といわれ正常粘膜が変化したものであるため、視覚的に区別ができます。

ほとんどの場合には症状はありません。しかし腫瘍に潰瘍を形成しそこから出血して吐血や下血を来したりすることがあります。また腫瘍が相当大きくなると、腫瘤を蝕知したり、腹部圧迫感や腹痛、嘔気といった症状が出現することもあります。基本的には健診のバリウム検査や胃カメラで偶然みつかります。

胃で粘膜下腫瘍の形態をとる腫瘍にはいくつか種類があり、脂肪腫や平滑筋腫、のう胞、迷入膵、リンパ管腫、GIST、悪性リンパ腫(稀)、肉腫(稀)など良性~悪性まで様々です。ただ内視鏡検査で粘膜下腫瘍発見しても通常の生検検査では、腫瘍の本体が粘膜の下深くにいるために、組織を採取できません。診断をつけるには粘膜を電気メスで切開し、そこから生検鉗子を差し込んで組織を採取する方法や、超音波内視鏡を使用して腫瘍に直接針を刺して組織を一部吸引する方法などがあります。

粘膜下腫瘍の中でも頻度が多く気を付けるのは、GIST(Gastrointestinal stromal tumor)です。カハール介在細胞が異常増殖して腫瘍化する病態で、10万人に2人程度のまれな疾患です。消化管全体に発生しますが、胃が最も多く60~70%、小腸20~30%、大腸、食道と続きます。GISTは消化管間質腫瘍といわれ、がんではありませんが、悪性腫瘍の部類に属します。よって腫瘍が増大して、遠隔転移などがんのような悪性腫瘍の経過をとることがあります。発生原因は不明です。

粘膜下腫瘍の治療方針としましては2㎝未満で悪性を疑う所見がない場合には年1~2回の内視鏡での経過観察となります。腫瘍が小さいときから診断をつけにいくことは基本的にありません。ただ2㎝未満でも増大傾向にあるもの、悪性を疑う所見があるもの、2~5㎝大の腫瘍に関しては診断をつけるため、超音波内視鏡を用いての組織検査やCT、MRIを利用して精査をしたり、その結果で手術加療が検討されます。5㎝以上では基本的に手術適応となります。ただしGISTの場合は診断がつけば小さくても手術加療が推奨されます。

GISTの手術は胃がんや大腸がんと比べて周囲の組織や臓器に浸潤することが少なく、リンパ節転移もまれなので多くの場合は臓器を温存した部分切除が行われます。しかしGISTが見つかった段階で他の臓器などに転移を来している場合は内科的治療(化学療法)となります。

 

結局、内視鏡で偶然みつかるような胃の粘膜下腫瘍は存在する部位や硬さ、色調などからある程度予測はできますが、確定診断はできません。例えば、GISTだったら胃底部にできやすく、硬さのある腫瘍、脂肪種ならクッションサイン(鉗子で押さえると凹み、はなすともどる柔らかい腫瘤)がみられる、のう胞は色調が青みがかっている柔らかい腫瘤、迷入膵は胃前庭部にできやすく、中心部が陥凹し開口部を有する柔らかい腫瘤といった特徴があります。

当院では腫瘍が小さいうちは定期的な内視鏡で経過観察をさせていただき、経過中に大きくなったり、形が変わったり悪性を疑う所見がありましたら、精査加療目的で高次医療機関への紹介を行っております。

 

 

豊中市西緑丘3丁目14ー8

みやの消化器内科クリニック

院長 宮野 正人