虚血性腸炎
- 2022年8月9日
- 虚血性腸炎
こんにちは。今回は意外とよく見る虚血性腸炎のお話です。
虚血性腸炎とは何らかの原因により一時的に血流障害が起きて、その部分が炎症を起こして粘膜に発赤や潰瘍が起きる病態です。
やや女性に多く、60歳以上の方に多いですが、若い健康な方でも見られます。
血流障害の原因としては動脈硬化や便秘、ストレスや生活習慣の乱れも指摘されています。
典型的な症状は腹痛、下痢、血便です。まず突然腹痛(左側腹部~下腹部)が出現し、その後下痢となり、真っ赤な血便が出現します。比較的血液の量も多いのでびっくりされる方も多いです。しかし実際は貧血を来すほど出血することは稀です。痛みの場所が左側腹部~下腹部というのは、障害を受ける場所が下行結腸からS状結腸に多いためです。発症はなぜか夜間に多い印象です。
臨床症状から虚血性腸炎を疑うことはできますが、正確な診断となると、大腸内視鏡検査となります。内視鏡検査にて病変部の特徴的な所見(発赤、縦走潰瘍など)が見られれば確定できます。その他は血液検査や超音波検査、CTを組み合わせて診断いたします。
治療としては多くの場合は腸管を安静にする食事療法などの保存的加療で自然に軽快いたします。炎症がひどく、症状が強い方は絶食、入院となる方もおられます。
突然の腹痛、下血の症状の中では頻度的には確率の高い病気です。このような症状がございましたら、ご来院いただければと存じます。
豊中市西緑丘3丁目14ー8
みやの消化器内科クリニック
院長 宮野 正人