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膵嚢胞性病変:主にIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)について

こんにちは。久しぶりのブログ更新となりました。

今回は膵嚢胞性病変についてです。膵嚢胞とは膵臓にできる内部が液体で袋状の形をした病変のことを指します。膵嚢胞があっても無症状ですので、健康診断や人間ドックの超音波やCT検査などで偶然発見される場合があります。単発のこともあれば複数個認める場合もあります。膵嚢胞自体は良性の病変ですのであわてる必要はありませんが、嚢胞が大きくなったり、多発したりして腫瘍性病変に進行していく可能性がありますので、経過観察は必要です。

その腫瘍性病変の中で最も頻度が多く、代表的な疾患が表題のIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)です。

IPMNの嚢胞は膵管(膵臓の中を貫通する膵液が通る管)の内部や周囲に形成されます。嚢胞のできる部位によって以下の3種類に分類されます。

①分枝型IPMN

膵臓の本管である「主膵管」から枝分かれした分枝膵管にできるタイプです。臨床的には最もよく遭遇するタイプで、時に嚢胞が多数重なり合ってあたかもぶどうの房状にみえることがあります。

悪性化する可能性はありますが、主膵管型より一般に低いため、危険な所見がなければ定期的な画像検査で経過観察することが多いです。


② 主膵管型IPMN

主膵管の中から発生するタイプです。その腫瘍から産生された粘液により膵液の流れが悪くなり、主膵管が全長にわたって太くなるのが特徴です。

こちらは分枝型よりも悪性化リスクが高く、特に主膵管が大きく拡張している場合には手術を積極的に検討します。


③ 混合型IPMN

分枝型と主膵管型の両方の特徴を持つタイプです。

主膵管型の特徴もあるために悪性化リスクは高く、主膵管型と同様の扱いとなります。

 

症状

非常にゆっくりと進行するため、ほとんどの場合には自覚症状はありません。ただし粘液によって膵液の流出が妨げられたり、病変が大きくなったりすれば、腹痛や背部痛を自覚することがあります。また膵炎や糖尿病を併発することもあります。

 

診断

IPMNの診断は主に画像検査となります。腹部超音波検査やCT検査、MRI検査で病変を確認して診断します。また悪性化を疑った場合には超音波内視鏡検査、内視鏡的逆行性膵胆管造影検査、膵液細胞診検査などの精密検査が有用です。血液検査ではIPMNがあるかどうかはわかりませんが、CEAやCA19-9といった腫瘍マーカーが悪性化を診断する上で参考となります。

 

経過

経過はゆっくりと進行するといわれています。IPMNは良性から悪性(膵癌)までいろいろな段階があります。定期的な画像診断を含めた経過観察で、病変の変化をとらえることが重要となってきます。

分枝型の場合は悪性化の頻度が低く、年率2-3%といわれています。しかし、嚢胞の大きさが3㎝以上であったり、嚢胞の中に結節(隆起性病変)がみられたり、嚢胞壁が厚くなっているような場合は悪性化の可能性が高いことが報告されております。また嚢胞が短期間で急速に大きくなった場合にも注意が必要です。

主膵管型の場合は分枝型と異なり悪性化の頻度が高いため注意が必要です。特に、主膵管の太さが10mm以上の場合には癌化のハイリスクと考えられ、全例で外科手術が推奨されます。主膵管内部に結節(隆起性病変)が認められた場合には、癌の可能性がさらに高くなります。

加えてIPMNがある方は、IPMNの病変とは別の部位に膵癌が発生するリスクも高まっています。これをIPMNの併存癌といいますが、こちらにも十分に注意する必要があります。

 

治療

手術療法が基本的な治療となります。癌(疑いも含む)が疑われる部位(膵頭部、膵体部、膵尾部)の膵臓を切除する方法です。進行癌となっている場合には、膵癌の取り扱いと同様に手術が不可の場合は抗がん剤治療などが選択されます。

 

膵嚢胞が偶然にみつかることはまれではありません。もちろん全例でIPMNになるわけではありません。ただ経過を追わないとわからないので、定期的な画像検査、血液検査による経過観察が必要です。

膵臓の病気と聞くと心配になる方は多いと思いますので、気になる方は当院までご相談いただければと存じます。

 

 

豊中市西緑丘3丁目14ー8

みやの消化器内科クリニック

院長 宮野 正人