肝機能障害
こんにちは。今回は肝機能障害についてです。
健康診断で指摘される異常値の中でも特に多いのがこの肝機能障害です。主に血液検査でAST(GOT),ALT(GPT),γ‐GTPといった数値が基準値を超えている状態です。肝障害を呈していても自覚症状はありませんので、健康診断をした際や別の目的で実施した血液検査で偶然指摘されるというケースが多くあります。
肝臓の数値が上昇をする原因としては様々あります。原因別に検査内容や治療に関して、おおまかにご説明していきます。
・肝炎ウイルス:B型肝炎、C型肝炎といった慢性肝炎を来すウイルスです。稀ですがA型肝炎、E型肝炎など急性肝炎を来すウイルスもあります。B型肝炎は血液検査でHBs抗原検査、C型肝炎はHCV抗体検査を実施して感染状態かどうかを調べます。感染経路としては過去の輸血や血液製剤、針刺し事故、入れ墨、母子感染、性感染などが挙げられます。HBs抗原やHCV抗体が陽性になれば、さらに詳しく体内のウイルス量を測定し、基準値を超えた場合には抗ウイルス薬の治療が必要となります。慢性肝炎状態が持続すると肝硬変に移行したり肝がんの発生といったリスクが高くなりますので、それを防ぐために治療が必要となります。A型肝炎やE型肝炎は慢性肝炎にはなりませんので、治療は不要です。したがって検査もすることは基本的にありません。
・脂肪肝:最も多い原因のひとつです。肝臓に脂肪(中性脂肪)が溜まっている状態のことです。アルコールによる脂肪肝とアルコールによらない脂肪肝(NAFLD)があります。飲酒する習慣がある方、飲みすぎの方は脂肪肝になりやすいですが、飲酒習慣がないもしくは少量摂取する方でも肥満(過食や運動不足)や脂質異常症、糖尿病などが原因となり脂肪肝となります。血液検査で脂肪肝と判断する検査項目はなく、主に超音波検査にて肝臓が腎臓に比べて明るく観察されることで診断します。脂肪肝自体は非常によく見られますが、一部の脂肪肝は進行性のこともあり、肝硬変や肝がんの発生につながることもあります。脂肪肝の治療薬として確立されたものはありません。生活習慣の改善や減量、節酒、基礎疾患の治療をすることで改善していきます。
・アルコール性肝障害:アルコール性というのは長期(通常5年以上)にわたる過剰の飲酒が肝障害の主な原因と考えられる病態です。過剰の飲酒とは1日平均純エタノールが60mg以上の飲酒をいいます。ただし女性などでは1日40mg程度の飲酒でもアルコール性肝障害を起こし得るといわれております。60mgというのはビールで1500ml、日本酒では3合、ウイスキーならダブルで3杯程度を指します。アルコール性肝障害も慢性肝炎となりますので肝硬変や肝がんの原因となります。治療は薬ではなく、ただ禁酒ということになります。禁酒により明らかにAST,ALT,γ‐GTPの数値が改善するといった特徴もあります。
・自己免疫疾患:免疫機能の異常により、自分の正常な肝臓を攻撃することにより起こる疾患です。原因は不明です。主な疾患として自己免疫性肝炎と原発性胆汁性胆管炎があります。これらの疾患の可能性を調べるには、入口として自己免疫性肝炎は抗核抗体、IgGといった項目を測定、原発性胆汁性胆管炎は抗ミトコンドリアM2抗体を測定します。これらの検査にひっかかればさらなる精査をして診断を確定していきます。
・甲状腺機能異常:代謝を司る甲状腺ホルモンの異常(亢進、低下)により肝臓での代謝のバランスが崩れ、肝機能障害を引き起こす可能性があります。治療は甲状腺ホルモンに対する薬剤となります。
・薬剤性:様々な薬が該当します。多いものは抗生物質や解熱鎮痛剤、精神系の薬といったものが挙げられます。また高血圧や脂質異常症の薬、漢方やサプリなども原因となることがあります。低い可能性まで考慮するとどのような薬剤でも考えられますので、複数の種類の薬を飲んでいる場合には、どれが原因の薬剤かを同定するのは困難です。治療としてはその原因となっている薬剤を中止することで改善します。
主だった原因としては上記となり、これらを鑑別していくこととなります。
当院におきましては、健診での肝機能異常などで来院された方、初めて指摘された方などには年齢に関係なく、すべての可能性を考慮して、血液検査や超音波検査を実施いたします。
原因がわかればそれぞれの治療を進めていきます。肝臓専門の先生による治療が必要と判断された場合には、ご紹介させていただきます。
ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
豊中市西緑丘3丁目14ー8
みやの消化器内科クリニック
院長 宮野 正人
