総胆管結石
こんにちは。今回は総胆管結石についての説明です。
あまり聞きなれない用語と思いますが、簡単にいうと総胆管という胆汁が通る管の中にできる胆石のことです。
そもそも肝臓でつくられた胆汁という消化酵素が総胆管を通って十二指腸の乳頭から排出されます。イメージとしては肝臓と十二指腸をつないでいる管のことです。その総胆管の途中から枝分かれして胆のうという袋があります。胆石とは胆汁の中に含まれるコレステロールやビリルビンが結晶となり大きくなってできるものです。物は同じでも、胆のう内にできる胆石を「胆のう結石」、総胆管にできる胆石を「総胆管結石」と呼びます。一般的に胆石と呼ばれているのはこの「胆のう結石」の方で、全体の80%を占めます。総胆管結石には胆のう結石が総胆管の方に排出してくるものも含まれます。
症状としては総胆管内に結石がはまり込んで、胆汁の流出障害が起きたときに発症します。まずみぞおちや右肋弓下(右肋骨の下)の痛み、嘔気・嘔吐症状が出現します。逆に、結石がはまり込んでおらずにいるときには症状は出現しません。胆管内に溜まった胆汁に細菌感染をおこすと、胆管炎となり発熱、黄疸が出現するようになります。ひどくなると意識障害やショック状態に陥ることもあります。また総胆管の出口である乳頭付近にはまり込んだ胆石により、近くの膵管(膵臓の中心を走る膵液が通る管)を塞いでしまうこともあり、この場合は急性膵炎も併発します。
診断は血液検査で肝胆道系酵素の上昇(AST,ALT,ALP,γ-GTP)、ビリルビンの上昇(T-Bil)を認めます。胆管炎となると白血球やCRPといった炎症反応の数値が上昇します。また膵炎ではアミラーゼなどの膵酵素の上昇、炎症反応の上昇を認めます。
実際に総胆管結石があるかどうかは画像診断となります。腹部超音波検査やCT/MRIがメインとなりますが、超音波がついた内視鏡(超音波内視鏡:EUS)を使用したり、内視鏡で十二指腸乳頭から総胆管に直接的に管を挿入して造影剤を流し込み、レントゲンで確認する方法(内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査:ERCP)が有用となる場合もあります。
総胆管結石の治療には、内視鏡治療や外科手術がありますが、現在は内視鏡治療が第一選択となっております。内視鏡的治療の目的は結石の除去と、胆道のドレナージ(貯留している胆汁を排出)することです。
~~すこし細かい話にはなりますが、内視鏡を用いて胆管の結石をとる方法の流れを説明いたします。~~
治療には通常の胃カメラとは異なる側視鏡というカメラを使用いたします。口から挿入し通常の胃カメラのように進めていき、胆管の出口である十二指腸乳頭のある位置まで挿入します。そこで内視鏡の先端から細い管(カテーテル)を出して、十二指腸乳頭から胆管内に挿入します。管の先から造影剤を流してレントゲンで結石の数や大きさを確かめます。ここまでが前述のERCPという検査になります。
引き続き処置に移っていきます。結石を胆管から十二指腸に排出するためには胆管の出口を広げておかないと取り出せません。そこで出口を広げるために、乳頭に電気メスで切開を入れる方法(内視鏡的乳頭括約筋切開術:EST)や風船で広げる方法(内視鏡的乳頭バルーン拡張術:EPBD)があります。それを実施した上で、胆管の上流まで採石のための処置具を挿入して、結石にひっかけて、掃除をするように十二指腸内にしっかりと落ちるまでかき出してきます。何回か繰り返し実施して、残った結石がないことを造影で確認して終了となります。これらは通常の胃カメラと同様、鎮静剤を使用して実施します。全身麻酔ではありません。時に胆管の検査や処置では痛みがでることがありますので、鎮痛剤も併用することが多いです。
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このようにして処置を終えますと胆汁の通りもよくなり、炎症が落ち着いてきます。また膵炎を併発している場合でも、膵液の通りもよくなるため改善していきます。
一旦これで治療は終了ですが、胆のう内に結石がある方は、再び総胆管結石ができてしまうこともあるので、予防的に胆のうをとってしまう手術を追加することが推奨されております。
胆管炎や膵炎は症状が激烈であり、短い時間で増悪しますので、急いで処置をしないと命にかかわる病態です。胆石がお持ちの方や50歳以上の方で急に発症する強い上腹部痛、背部痛、嘔吐の症状には特に注意が必要です。また無症状でも、別のことで撮影したCTなどで偶然に発見される場合もあります。こういった場合はいつ胆管炎になるとも限りませんので、内視鏡の治療の適応となります。
当院では来院時の診察と血液検査で、結石の有無まではわかりませんが、胆管炎や膵炎が発症しているかどうかのあたりはつけられます。それほどまれではなく、時々あるような病態であり、診断した方はすぐに救急病院へご紹介させていただいております。
豊中市西緑丘3丁目14ー8
みやの消化器内科クリニック
院長 宮野 正人