|【豊中市の胃カメラ・大腸内視鏡検査】みやの消化器内科クリニック|内科・消化器内科

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潰瘍性大腸炎

こんにちは。

今回は潰瘍性大腸炎についてお話します。潰瘍性大腸炎とは大腸の免疫異常により、粘膜に慢性的に炎症が生じる病気です。

クローン病と併せて「炎症性腸疾患」として分類されます。潰瘍性大腸炎は難病指定されていますが、決してまれな病気ではなく、クローン病より罹患者数は多く比較的よく遭遇する病気であり、2021年にはおよそ25万人の患者様がおられると推計されております。20代に発症しやすく男女差はありません。ただ最近では高齢での発症も少なくありません。

症状は大腸粘膜の炎症により下痢や粘血便(白い粘液に血が混じるような便)、腹痛があります。特に粘血便は他の疾患にはあまり見られず特徴的な症状となります。慢性炎症性疾患ですので、放っておいても治らず症状が長期にわたり持続します。若い方で下痢や血便が続く方はこの病気の可能性が高くなります。ひどくなると下痢回数や腹痛が強くなり、血便による貧血や倦怠感が出現します。発熱などの全身症状も出現することがあります。外来におきましては10~30歳代の若年層の方が血便を主訴に来院されます。その場合は多くは痔核などの肛門由来の出血や虚血性腸炎、感染性腸炎などが多いですが、時折、潰瘍性大腸炎などの病気も見つかります。特に長期に下痢や血便が続く場合は大腸内視鏡検査が推奨されます。

診断は大腸内視鏡検査により大腸粘膜の状態を観察し、炎症をおこしている粘膜から生検を実施して病理検査を行います。その結果と症状を合わせて診断します。腸管感染症の否定のために便培養を実施することもあります。内視鏡で炎症が直腸のみにとどまっているものを「直腸炎型」、直腸を越えてS状結腸や下行結腸まで広がるものを「左側大腸炎型」、全大腸に広がるものを「全大腸炎型」と呼びます。

そのようにして診断した潰瘍性大腸炎に対しては重症度を考慮しながら治療を開始していきます。まず症状がある状態から寛解を目指す寛解導入療法を行います。それから症状が落ち着けば寛解維持療法へ移行します。

軽症~中等症に対しては第一選択として、5-ASA製剤が投与されます。また直腸の炎症に対しては経口ではなく坐剤も使用されます。これで症状の寛解が得られればそのままの内服で維持療法へ移行します。

5-ASA製剤で改善が得られない中等症の場合はステロイドの内服が考慮されます。ステロイドは短期間で使用し炎症を抑えます。効果があるようなら徐々に減量して最終的には中止し、維持療法へ移行します。

ステロイド無効の難治例や重症例に関しては、入院で腸管安静とし、分子標的治療薬、免疫抑制剤などが選択されます。また血球成分除去療法(透析の要領で自分の血液から炎症細胞を除去して、体内へ戻す治療)も考慮されます。

 

現段階で潰瘍性大腸炎を完治させる治療はありません。したがって症状がでない状態を維持するために継続的な治療が必要になります。再燃を防ぐことで通常の日常生活を送ることが可能です。ただし発症から長くなると大腸癌のリスクが高くなるために定期的な内視鏡検査が必要となります。

 

 

豊中市西緑丘3丁目14ー8

みやの消化器内科クリニック

院長 宮野 正人