みやの消化器内科クリニック

〒560-0005 大阪府豊中市西緑丘3-14-8
MENU
WEB予約はこちら

ブログ

Blog

大腸憩室炎、大腸憩室出血

こんにちは。今回は大腸憩室に関わるお話です。

そもそも憩室というのは消化管の壁の一部が外部に突出し、袋状になった状態ものをいいます。穴があいているわけではありません。食道や胃、十二指腸、小腸、大腸などの消化管にできますが大腸が最も多いです。後天的に出現し、原因としては大腸の壁の強さと便秘などによる腸管内圧の上昇のバランスが崩れてできると考えられております。基本的に数は年齢で増加し最終的に複数個できることが多いです。大腸憩室があるだけでは症状はありませんが、時に大腸憩室出血といった合併症を引き起こします。

大腸憩室炎:憩室に便が長時間貯留することで、細菌が繁殖しすることで炎症を引きおこします。症状は主に腹痛ですが、発熱や下痢、嘔吐症状なども伴うこともあります。痛みの場所は炎症を起こしている憩室のところですが、日本人は右側結腸(上行結腸~肝弯曲)に憩室が多いとされておりますので、お腹でいうと右側が多いことになります。診断は症状から憩室炎のあたりをつけて、血液検査やCTなどの画像検査が有効となります。治療としては腸管安静と抗生剤投与などが行われます。軽症なら外来での治療は可能です。ただ場合によっては重症になる場合もあり、膿瘍という膿の溜まりを形成したり、穿孔といって腸に小さな穴があいてしまうこともあります。そうなる経皮的ドレナージ(膿を体外へ管を通して排出する治療)や手術が必要になることもあります。予防としては水分をしっかりとって便通をよくしておくことやアルコールやカフェインなどの刺激物を控えたり、運動して減量することなどが挙げられます。

大腸憩室出血:憩室内部の血管が破綻することにより引き起こされます。症状は突然の血便で発症します。通常、腹痛や下痢、発熱などはありません。出血量は比較的多いことがほとんどです。診断は大腸内視鏡検査になりますが、検査時にはすでに自然に止まっていたりするために、どの憩室から出血したのかわからないことも多いです。同定できたならば、その憩室に対して止血処置を行います。治療の基本的としては絶食となり腸管安静が必要です。すぐに再出血することもしばしばあるため入院での加療が望ましいと思われます。重症例では大量に出血することでショックを引き起こし、輸血や全身管理が必要になったりすることもあります。

 

残念ながら上記の病態が一度起こると、再発率は高いです。発症予防もなかなか難しいところですが、便秘を解消しておくことや肥満にならないようにしたり、刺激物を避けたりなどできることは実施しておくことが肝要かと考えます。

 

 

豊中市西緑丘3丁目14ー8

みやの消化器内科クリニック

院長 宮野 正人