アルコール性肝障害
- 2023年6月14日
- 肝臓
皆さんこんにちは。今回は少し趣向を変えて肝臓のお話です。
今まで肝硬変、肝がんといえばウイルス性(B型、C型肝炎)が多かったのですが、治療法も確立しておりこれからはアルコール性、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)による肝硬変や肝がんが増加すると予想されています。アルコールを摂取される方は肝臓がやはり気になりますよね。アルコール性の肝障害とはどういったものかということを簡単にご説明します。
アルコール性というのは長期(通常5年以上)にわたる過剰の飲酒が肝障害の主な原因と考えられる病態。過剰の飲酒とは1日平均純エタノールが60mg以上の飲酒をいいます。ただし女性などでは1日40mg程度の飲酒でもアルコール性肝障害を起こし得るといわれております。また禁酒によりAST,ALT,γ-GTPが明らかに改善するといった特徴も診断の基準になります。
アルコール性肝障害の方は禁酒をすることにより数値も下がり病状の進行はありませんが、飲酒を続ける限り進行していきます。まずアルコール性の脂肪肝が形成され、経過を追うごとに肝臓が固くなってきます。(線維化が進む)最終的には肝硬変に至ります。肝硬変は男性では日本酒でいうと5合以上を20-30年程度続けることで発症します。(女性の場合はその2/3の量で10-20年ほどで発症)肝硬変とは肝臓がほぼ働いていない状態となり、代謝がうまくいかず、体に毒になる老廃物などが蓄積されて栄養状態がどんどんと悪くなっていきます。また肝がんも高率に発生いたします。肝硬変になるともう肝臓が回復することなく後戻りできなくなってしまいます。逆にいいますとそれまでなら引き返せる状態です。
当てはまる方は肝硬変になる前からの節酒、禁酒を強く推奨いたします。肝臓が悪くなっていっているかどうかは血液検査である程度把握できますので、定期的な検査をしていただけたらと思います。
飲酒量はアルコールに含まれるエタノールの量で判断いたします。エタノール量20mg程度が健康被害もほとんどなく、続けて飲んでも問題ない量です。アルコール性肝障害の基準である60mgまでいかずとも、40mg以上になってくると生活習慣病のリスクも上昇いたします。いずれにせよ飲みすぎはよくないということですね。
最後に節度ある飲酒量 (アルコール性肝障害にならない量)をお示ししますのでご参考にいただけたらと思います。
*節度ある適度な飲酒量はエタノール量で20mg/日!!
具体的には・・・
ビール(アルコール度数 5%) 500ml
日本酒(アルコール度数15%) 1合 180ml
焼酎 (アルコール度数25%) コップ半分(100ml)
ワイン(アルコール度数12%) グラス2杯(200ml)
ウイスキー(アルコール度数43%)ダブル1杯(60ml)
豊中市西緑丘3丁目14ー8
みやの消化器内科クリニック
院長 宮野 正人