機能性ディスペプシアとは
内視鏡検査で胃の中に明らかな異常がないにもかかわらず、慢性的に胃痛や胃もたれ、膨満感などの上腹部症状を来す疾患をいいます。
慢性的な症状は胃炎や胃潰瘍、がんなどといった病気からくることがよく知られておりますが、機能性ディスペプシアはそういった病変がないにもかかわらず症状のみ出現します。
罹患率は約15%もあり、頻度が高くとてもよくみる疾患です。命にかかわることはありませんが、生活の質(QOL)に影響するために適切な治療が必要です。
機能性ディスペプシア
Disease
内視鏡検査で胃の中に明らかな異常がないにもかかわらず、慢性的に胃痛や胃もたれ、膨満感などの上腹部症状を来す疾患をいいます。
慢性的な症状は胃炎や胃潰瘍、がんなどといった病気からくることがよく知られておりますが、機能性ディスペプシアはそういった病変がないにもかかわらず症状のみ出現します。
罹患率は約15%もあり、頻度が高くとてもよくみる疾患です。命にかかわることはありませんが、生活の質(QOL)に影響するために適切な治療が必要です。
原因としてはっきりとはわかっておりませんが、胃の働きが悪くなっている、胃が知覚過敏になっている、ストレスなどの心理的要因、胃酸過多、生活習慣の乱れ(アルコール、喫煙、不眠など)などの要因がいくつかが組み合わさって起こる複雑な病態です。
また感染性腸炎が治ったあとに、何らかの原因で発症することもあります。
ピロリ菌感染が機能性ディスペプシアみたいな症状を来している場合もありますが、ピロリ菌による慢性胃炎とはまた別の病態とされています。
みぞおちのあたりの痛みや灼熱感、食後胃もたれ、早期腹満感(少したべるだけですぐにお腹がいっぱいになる)などが代表的です。またこれ以外にもげっぷや嘔気などの症状が付随する場合もしばしばあります。こういった症状が持続して週に数回~毎日出現するようになります。ある程度の長い期間で繰り返し症状がでる病気ですので、一過性に出現して治ってしまうような症状は、この病気であるとはいえません。
機能性ディスペプシアであると診断するには、症状の種類や強さ、症状が続く期間、食事と関係など詳細な問診を行い、その上で内視鏡で胃潰瘍、胃がんなどの目に見える病気がないことを確認することが前提となります。
またみぞおちの痛みなどの症状は胃以外の臓器から出現している可能性もありますので、超音波検査やCT検査、血液検査などを実施する場合もあります。
他の病変を否定して初めて診断がつけることができます。
治療としては生活習慣の改善、食事療法、薬物療法が挙げられます。
生活習慣の改善点としては、飲酒や喫煙を控える、不規則な生活の改善、睡眠時間の確保、身体的や心理的ストレスを軽減することなどが挙げられます。
食事療法としては食べる量を調整する、栄養バランスのとれた食事をする、間食を控える、胃に負担がかかるものの摂取を控える、適度な運動をするといったことが重要です。
食事はよく噛み、ゆっくりと食べ、一度に食べすぎないようにし、食事内容もバランスを考慮し、脂肪分の多いものや炭酸、スパイス、コーヒー、マヨネーズなど胃に負担がかかりやすいものは摂取しすぎないように注意が必要です。
薬物治療としては胃もたれや消化不良に対しては胃の働きを改善させる薬、胃の痛みに対しては胃酸分泌抑制薬が使われることが多いです。
また特に食後膨満感、上腹部膨満感、早期腹満感に対してはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(アコファイド)が効果的です。このアコファイドは唯一の機能性ディスペプシアの治療薬となっております。
その他は漢方(六君子湯)や必要に応じて抗不安薬、抗うつ薬も使用される場合もあります。
それぞれの症状によりこれらの薬を組み合わせて治療します。
一旦症状が改善しても、再発することが多々あります。完治というのは難しい病気ですので、わかる原因を除去しながら症状がでないように、上手く付き合っていく必要があります。